- HOME>
- ドクターズインタビュー
高槻市で長年地域医療に貢献してきた当院は、外来診療、訪問診療、訪問看護の3つを柱に、患者さまお一人ひとりの生活に寄り添った医療をご提供しています。父である先代の院長からクリニックを継承し、大阪医大循環器内科での経験を活かしながら、「患者さまの立場に立って考える」ことを診療の基本とし、「ゆりかごから墓場まで」というイメージで、ご家族全体の健康を支える地域密着型クリニックを目指しています。これからも高槻市の医療と福祉を支える存在であり続けたいという田崎院長にお話を伺いました。
家族全員の健康を支える地域密着型クリニック

先生が医師を目指したきっかけを教えてください

父が医師で、もともとこの地でクリニックを開業していました。実は私が医師になるまで、父は「医者になれ」とは一度も言ったことがなかったのです。ただ、私が小さい頃から父の働く姿を見ていたので、自然と医師という道に興味を持つようになりました。
私自身、受験勉強をしている時に「何のために勉強するのか」と自問自答しました。そこで「人の役に立つために勉強するのだ」という答えにたどり着いて、そのためには医師になるのが一番だと再認識したのです。父のクリニックが地域に根付いて、多くの患者さまに慕われているのを見て育ちましたから、地域医療の魅力にも早くから触れていたのだと思います。
父が80歳になったら医院を継承することを目標に
大阪医科大学の循環器内科で研修を積み、そこで多くの貴重な経験ができました。現場ではとにかく貪欲に学ぶ姿勢を大切にし、循環器だけでなく救急外来、小児科といった幅広い知識を身につけようと努力しました。そういった経験の積み重ねが今に生きていると感じています。

先生が診療において大切にされていることは何ですか?

とにかく「患者さまの立場に立って考える」ということを大切にしています。これはただの言葉ではなく、診療における一貫したスタンスです。例えば終末期医療では、点滴や酸素投与についてさまざまな考え方があります。「もう点滴はしない」「酸素は使わない」と決めている医師もいますが、それは決して悪いわけではありません。大切なのは、患者さまとご家族がどのような最期を望んでいるかを汲み取ることです。
点滴が寿命を1日2日延ばすだけかもしれませんが、それによってご家族が満足できる環境になるのであれば、そのご希望にお応えます。患者さまの立場に立って柔軟に対応することが、当院がブレずに大切にしていることです。

クリニックの特徴について教えてください

当院では外来診療、訪問診療、訪問看護の3つを柱として、患者さまお一人ひとりの生活に寄り添った医療をご提供しています。外来に来られた患者さまだけでなく、そのご家族全体を診る「ファミリードクター」の役割を担っています。
外来に来られなくなっても、最期までしっかり対応し、その後も思い出をご家族と共有できるような関係を築いています。「ゆりかごから墓場まで」というイメージで、すべてに対応します。また、専門外のことや対応が難しいと感じることは、基幹病院にご紹介して問題解決を図ります。何かしらの結論が出て、納得していただけるまで責任を持って診療することが当院の強みだと思います。

訪問看護と連携したチーム医療についてくわしく教えてください

訪問看護は従来、ファックスや手紙でのやり取りが中心で、情報伝達に大きなタイムラグがありました。例えば心臓病や感染症の患者さまで、今すぐ対応すれば重症化を防げるケースでも、情報が遅れて伝わることで手遅れになることがありました。
これを解消するため、毎朝医師と訪問看護師でカンファレンスをおこない、リアルタイムで患者さまの状態を共有しています。個人のクリニックで毎朝カンファレンスをおこなっているところはあまりないと思いますが、これにより早期発見・早期対応が可能になっています。例えば、心筋梗塞の手前くらいの状態の患者さまが、心筋梗塞を起こす前に対応できるようになりました。

訪問診療を通じて見えてくる患者さまの真の姿について

診察室で見る患者さまの姿だけでは、実際の生活状況を正確に把握することは難しいです。診察室では身だしなみも整っていますが、実際の生活環境は違うことが多いのです。特に高齢者の場合、プライドもあり、「家が荒れている」とか「誰が食事を作っているのか分からない状況」などを言わないことが多いです。
訪問診療に切り替わることで初めて「こんな状況だったのか」と気づくことも多く、「薬を飲み忘れるのは当然だな」「きちんとした生活ができないのは無理もない」と理解できます。それが適切な治療や支援につながります。

24時間365日の対応について教えてください

訪問診療を契約されている患者さまには、24時間365日の対応をおこなっています。体調が急変した際には連絡をいただき、状況に応じて対応します。私たちだけでなく、訪問看護でも同様の対応があり、連携して患者さまをサポートしています。
例えば、「胸が痛い」「しんどい」という連絡があれば、すぐに対応します。必要に応じて救急搬送となる場合もありますが、その際は基幹病院と連携して「このような患者さまが行きますので、よろしくお願いします」と伝えることで、スムーズな対応を実現しています。

在宅医療での検査体制はどのようになっていますか?

在宅でもさまざまな検査が可能です。携帯型の医療機器を活用して、心臓エコー、腹部エコー、心電図などの検査を患者さまのご自宅で実施しています。昔は大きな機械でしたが、今はコンパクトな機器も増えてきました。その場でリアルタイムに診断ができるため、「これはおかしい」「これは大変だ」と判断すれば、すぐに救急車を呼ぶこともあります。

生活習慣病に対する先生のアプローチはどのようなものですか?

患者さまによって対応を変えています。忙しくて運動や食事療法に時間をかけられない方、特に若い方には早めに薬を出すこともありますが、「頑張りたい」という方には経過を見ることもあります。
頭ごなしに治療をすすめるのではなく、その人の生活状況や今後どれだけ頑張れるかに応じたアプローチをしています。何より大切にしているのは、患者さまご自身がどう思っているかということです。「できるだけ薬を飲みたくない」という方に無理に薬をすすめることはありません。

どのような症状や疾患に対応されていますか?

基本的には「何でも」対応しています。当院は内科・循環器内科ですので、胸の症状で来られる方は多いですね。それ以外にも風邪、腹痛、頭痛、めまいなどさまざまな症状に対応しています。
循環器が専門ですが、消化器の医師もおり、週1回は大阪医大の糖尿病専門医や小児科専門医による外来もおこなっています。専門性の高い小児科疾患などは小児科専門の医療機関をご紹介しますが、風邪などの一般的な小児疾患は当院でも診療しています。まずは何でもご相談いただければ、必要に応じて専門医をご紹介します。

貴院の最大の強みは何だと思いますか?

外来診療と訪問診療と訪問看護がセットになっているクリニックであることが最大の強みです。患者さまにとって、外来に来られなくなっても同じ医師・看護師が継続して診療にあたることができるのは大きな安心につながります。
一般的には、通院が難しくなって在宅医療に移行する際に医師が変わることが多く、特に高齢者にとっては大きな負担です。当院では診療形態が変わっても継続した医療をご提供できるのが強みです。また、大学病院などに入院した後、「あとは地域で」と言われて当院に来られる方もいらっしゃいます。どのようなケースでも、切れ目のない医療をご提供することを心がけています。

今後のビジョンについて教えてください

外来診療、訪問診療、訪問看護の3つの柱をさらに太く、強くすることが目標です。別の地域で展開するというよりは、高槻のこの地域で根付いた、不動のクリニックになることを目指しています。半径3〜5kmをカバーしている現在の範囲をもう少し広げたり、同じ範囲でもより多くの方々をカバーしたりすることが、私にできることだと思います。
医療と福祉に力を入れている高槻市で、これからも地域の皆さまの健康と生活を支える存在であり続けたいと考えています。

最後に患者さまへのメッセージをお願いします

当院では、患者さまが外来に来られた時はその方のご両親やお子さんにも対応し、ファミリーとして診療します。そして、クリニックに来られなくなっても、最期までしっかり対応できる体制を整えています。
「ゆりかごから、墓場まで」のイメージで、すべてのニーズにお応えし、患者さまにご満足していただけるよう努めています。「こういう医療しかしませんので、それが必要な方だけ来てください」というスタンスではなく、どんな相談にも真摯に向き合います。
皆さまのお気持ちに寄り添うことを一番の目的としておりますので、些細なことでも何でもご相談ください。地域の皆さまの健康と生活を支える存在として、これからも全力で診療に取り組んでまいります。