高血圧

血圧とは

血圧とは

血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことです。通常は上腕動脈の圧力を測定します。血圧の高さは、心臓が血液を押し出す力と血管の拡張性、弾力性によって決まります。また、腎臓や神経系、内分泌系など多くの因子によって調整されています。
血圧は常に変動しており、一般的に朝に上昇し、日中は高く、夜間・睡眠中は低くなります。季節によっても変化し、冬は夏より高くなる傾向があります。

最高血圧と最低血圧

心臓は収縮と拡張を繰り返して血液を送り出しています。心臓が収縮したときに最も高くなる血圧を「最高血圧(収縮期血圧)」、拡張したときに最も低くなる血圧を「最低血圧(拡張期血圧)」と呼びます。

高血圧症とは

高血圧症とは、繰り返し測定しても血圧が正常より高い状態が続く場合を指します。家庭での血圧が、最高血圧が135mmHg以上、あるいは最低血圧が85mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。

高血圧症の種類

本態性高血圧症

原因が特定できない高血圧で、高血圧症の約90%がこれに該当します。遺伝的な要素と生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病の一つです。

本態性高血圧症の主な原因
  • 過剰な塩分摂取
  • 肥満
  • 過剰飲酒
  • 精神的ストレス
  • 自律神経の調節異常
  • 運動不足
  • 野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足
  • 喫煙

二次性高血圧症

体の中に血圧上昇の原因となる明確な病気がある場合、二次性高血圧症と呼びます。腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などが含まれ、外科手術により高血圧の改善が期待できる場合もあります。

高血圧による合併症

高血圧状態が長く続くと、血管は常に張り詰めた状態になり、次第に厚く硬くなっていきます。これが動脈硬化であり、大血管にも小血管にも起こります。

このような重大な疾患の原因となります
  • 脳出血・脳梗塞
  • 大動脈瘤
  • 腎硬化症
  • 心筋梗塞
  • 眼底出血
  • 心臓肥大・心不全

これらの合併症を予防するためには、高血圧にならないよう注意し、すでに高血圧の方は適切な治療で血圧を正常化することが重要です。

日常生活の留意点

減塩について

塩分の過剰摂取は体内に水分を蓄積させ、血流量を増加させて血圧を上昇させます。1日6g未満を目標にしましょう。

寒さ対策

暖かい場所から急に寒い場所へ出ると、血管が収縮して血圧が上昇します。特に冬は室内と外気との温度差をなるべく少なくするよう心がけましょう。

  • 外出時はマスクやマフラー、手袋などで肌の露出を少なくする
  • 居間と浴室、トイレの温度差が少なくなるよう暖房や着衣に配慮する

夏も冷房の効いた部屋から出る際は注意が必要です。外気との温度差が5度以上にならないよう調整しましょう。

入浴について

入浴も血圧変動に影響します。特に冬は注意が必要です。熱すぎるお湯(42℃以上)は避け、ぬるめ(40℃程度)のお湯に5~10分程度浸かりましょう。長湯は禁物です。浴室は事前に暖めておくと良いでしょう。

排泄について

いきみが長いと血圧が上昇します。便秘予防を心がけ、スムーズな排便を促しましょう。洋式トイレを使用すると、和式に比べて血圧変動が少なくなると言われています。

  • 毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつける(特に朝食後が効果的)
  • 朝食前に冷水や冷たい牛乳を飲む
  • 食物繊維の多い野菜や海藻類を摂る
  • 腹部マッサージをおこなう(腹部大動脈瘤のある方は避けてください)

睡眠と休養

十分な睡眠と休養をとり、疲労やストレスをためないようにしましょう。規則正しい生活を心がけ、過重労働・長時間勤務・夜更かしは避けましょう。

禁煙

喫煙は血管を収縮させ、一時的に血圧を上昇させるだけでなく、血液の流れを悪くし、血液凝固を促進して動脈硬化の原因となります。「百害あって一利なし」と言われるように、高血圧の方は特に禁煙が推奨されます。

アルコール

適量の飲酒は1日、男性はアルコールとして20~30ml(日本酒なら1合、ビール中瓶1本、ウイスキーシングル2杯)まで、女性はその半分までです。大量飲酒は血圧上昇や様々な疾患のリスクを高めますが、適量の飲酒は動脈硬化予防に効果があるとも言われています。

肥満対策

肥満は血圧上昇の原因となり、心臓への負担も増加させます。BMI(体重kg÷身長m÷身長m)が25以上の場合は肥満と判定されます。体格に合った適切な体重を目指しましょう。ただし、急激な減量は避け、医師に相談しながら無理のない方法で取り組むことが大切です。

適度な運動

軽い運動(散歩、ジョギング、ラジオ体操、自転車など)は血液循環を促進し、肥満防止にもつながります。ただし、どの程度の運動が適切かは個人の状態によって異なりますので、まずは医師に相談したうえで始めるようにしましょう。運動中に息切れ、動悸、めまいなどの症状が出たときには休息し、必要に応じて受診をするようにしましょう。

家庭での血圧測定について

血圧はさまざまな条件で変動するため、測定前には5~10分程度安静にし、条件を一定にすることが重要です。

測定のポイント

いつも同じ腕・姿勢・
時間に測る

左右で10mmHg以上差がある場合は高い方で測定
姿勢 座った姿勢が望ましい(1~2分安静後に測定)
時間 朝(起床後1時間以内、食事・服薬前)と夜(就寝前)
  • きつい衣服で腕を締め付けない
  • 血圧計は腕と同じ高さに置く
  • 測定値を継続的に記録する
  • 血圧計は定期的に点検する

降圧薬を服用されている方へ

降圧薬を服用されている方へ
  • 主治医の指示がない限り、自己判断で用量調節や中止をしないでください
  • 途中で中止すると血圧が元の値に戻り、時にはそれ以上に上昇することがあります
  • 副作用や異常を感じたときは主治医に相談しましょう

高血圧は自覚症状が少ないことが多いですが、放置すると重大な合併症を引き起こす可能性があります。定期的な検診と適切な生活習慣の改善、必要に応じた治療を継続することが大切です。ご不明な点があれば、当院までお気軽にご相談ください。

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